金属アレルギーは病態が多様ですので、口腔内と全身の両面の状態を知るために、歯科と内科、皮膚科が連携した多角的な検査が必要です。検査項目については下記の検査を歯科と内科で組み合わせて行うことが一般的です。
●口腔内検査
視診やレントゲンによる検査が中心です。口腔と歯の状態、金属の存在をチェックします。歯肉や舌、頬の粘膜などに発赤、白化などの症状が現れることがあります。歯周病は症状を悪化要因です。
●歯科金属検査
多種類、多数の金属が使われていればいるほどリスクが高くなります。冠や詰め物の一部が黒く変化してしまっている場合には強いガルバニ電流が発生している可能性があります。金属での帯電試験、機器による金属の漏出度測定です。
●パッチテスト
一般的に内科医や皮膚科医が行います。アレルギーの疑いのある材料を肌に付けて肌の反応を見る検査です。医科用のパッチテスト用試薬と歯科用、装飾品用の合金粉末が用いられます。不快な皮膚症状が出ないように注意深く行う必要があります。
●毛髪ミネラル検査
0.2g(約150本)の毛髪を採取して分析します。採取量は少量ですから、毛髪を切ったことは全くわかりません。頭髪に蓄積されている有害金属レベルなどを測定しま。そのことから体内に残留している有害金属量を推測することができます。生活環境を見直す指標となりえます。デトックス中には一時的に増加し、その後減少します。
●リンパ球刺激試験
リンパ球幼弱化テストとも呼ばれます。血液から取り出したリンパ球に、アレルギーの原因である口腔内金属を 取り込ませることによって過敏性を有するかどうかを確認する検査方法です。 幼弱リンパ球の比率が多いほどその金属への過敏性が高いと考えられます。
●唾液分析
口腔内検査の一環として行われます。唾液の性質を測ります。(金属の腐食に影響する場合もあります) 唾液の分泌量やpH(酸性度)はガルバニ電流の発生やイオン化傾向に影響します。
●金属含有レベル検査
リンパ球刺激試験や生活環境検査と同時に行われます。血液中に含まれている有害金属の含有レベルを測定します。従来は急性鉛中毒など労務災害時に、キレーションの術前検査として行われていました。
●生活環境アレルギー検査
アレルゲン全てを対象にした総合的なアレルギー検査です。疑わしいアレルギー項目のアレルゲンすべてについて調べます。