歯科金属アレルギー

人類は太古から装飾品として、あるいは権力の象徴として金属を身につけてきました。しかしそれらの多くは金を主体とする貴金属でした。金はイオン化しにくいという点では安全性の高い素材です。しかし、現在歯科治療で用いられる合金の金含有量は少なく抑えられており、パラジウム、銀、銅、ニッケルなど多様な元素を含んだ合金が使用されています。これらの合金の大量使用は人類史上例のないことで、長期的な安全性を注意深く見守っていく必要があります。

私たちは飲料水や食品の重金属汚染には敏感ですが、口の中の金属には意外に無頓着です。口の中の金属はイオン化して溶け出しやすく、唾液、口腔細菌、血液などのタンパクと結合して抗原性(アレルギー性)を持つようになります。その結果、皮膚炎や肌のシミ・しわなどを生じるようになります。

また、口の中の金属は帯電しやすく、ガルバニ電流と呼ばれる微弱電流を生じて、脳活動を混乱させたり、頭痛や関節痛を憎悪させたりします。口の中の金属によるアレルギーの危険性はピアスやネックレスによる感作によって発症しやすくなりますが、発症しない場合でも長い期間にわたる金属の体内蓄積によって身体的リスクが増大します。

現時点で最も懸念されていることは、口の中の金属のよって免疫力が低下し、老化や発癌が促進されてしまうのではないかということです。 しかしながら現実問題として、歯科用合金を全く使用しない歯科治療は困難ですから、患者さんの体質に合わせた慎重な素材選択が必要になります。セラミックはもっとも安全であり、チタンも安全性の高い材料です。
失われた歯を回復する場合には、費用の点を別にすればチタン製インプラント(人工歯根)とセラミックの人工歯冠が安全な選択といえます。

一般的に部分入れ歯やブリッジは金属を使用せざるを得ないのですが、ファイバーやジルコニアを使用したブリッジやプラスチックのツメを使用した部分入れ歯が開発されています。最も重要なことはいうまでもなく、虫歯や歯周病を防ぐことです。最近の予防歯科は急速に発展しており、虫歯菌や歯周病菌の除菌法が実用化されています。歯の病気や金属アレルギーが起きる前にきちんとした予防歯科のプ
ログラムを受けることが大切です。

                <金属アレルギー学会HPより>

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このページは、が2007年6月17日 23:09に書いたブログ記事です。

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