アトピー性皮膚炎 合併症と副作用

アトピー性皮膚炎の合併症と副作用には次のようなものがあります。ステロイド外用薬の局所の副作用としては、皮膚の萎縮、血管拡張、毛のう炎などが主なものです。特に顔面において発現しやすいので、顔面の症状に対してステロイドはできるだけ使用せず、使用するときは弱いものを短期間にとどめ特に注意深く観察することが望まれます。体幹、四肢ではこれらの副作用は比較的まれですので、皮疹の程度に応じた適切な強さの外用療法を行えば、副作用は生じにくいものです。

一方ステロイドの内服の際にみられる全身性の副作用(高血圧、糖尿病、電解質異常、精神神経症状など)が混同されていることがありますが、外用薬ではこれらの副作用はみられません。

抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の副作用としては、眠気、だるさなどが主なものです。また抗コリン作用があり、痰の喀出困難などが起こることがあります。抗アレルギー薬に分類される第2世代以降の抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が弱く、また眠気を起こしにくいものが多いが、かなり個人差があります。

合併症をおこしやすい感染症には伝染性膿痂疹(とびひ)伝染性軟属腫(みずいぼ)カポジ水痘様発疹症などがあります。

●伝染性膿痂疹(とびひ)
多くは黄色ブドウ球菌による感染です。ステロイドの外用で炎症は抑えることができるが、菌数の増加が起こりうるので、抗菌薬の外用、内服などを併用します。

●伝染性軟属腫(みずいぼ)
pox virusによる感染症であり、アトピー性皮膚炎患者に生じると掻破により多発しやすい傾向があります。ステロイド外用により増加するので外用を中止したほうがよいと考えられます。

●カポジ水痘様発疹症
単純ヘルペス感染症ですが湿疹病巣に感染すると急速に拡大し、全身症状を伴います。ステロイドの外用は中止し、抗ウィルス薬を外用、内服、または入院の上点滴する必要があります。

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このページは、が2007年6月 9日 22:57に書いたブログ記事です。

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