2007年4月アーカイブ

イネ科花粉

花粉症の原因となるイネ科植物の多くは牧草として輸入され、帰化したものです。牧草地以外にも道端、荒地や河川敷など身近な場所に多く生えており、花粉症の原因としてスギに次いで多いとされています。また、春季に花粉症の症状がありスギ特異的IgE抗体陽性236例の52%がイネ科花粉に感作され、また、スギ特異的IgE抗体が陰性例のうち14%はイネ科花粉単独に感作されていました。

多くの異なる種のイネ科植物が、晩春から秋にかけて長期にわたり花粉を飛散します。イネ科花粉間には強い共通抗原性があり、そのため、花粉飛散時期の異なるイネ科花粉によっても症状が起こり、晩春から秋まで症状が持続する可能性があります。イネ科の多くは早朝から午前中に花粉を飛散させます。晴天の場合には午前10時頃までに飛散のピークが認められ、曇りの時は1-2時間遅れます。

ハンノキ(属)・シラカンバ(属)はいずれもカバノキ科に属する植物です。いずれかの花粉に対する花粉症例の約半数は果実アレルギーを合併しています。本州ではハンノキ花粉の飛散時期はスギとほぼ同時のため、ハンノキ花粉症と診断するのは困難です。
しかし、東京の鼻アレルギー患者の20%にハンノキ花粉の感作があり、その半数に果実・野菜による食物アレルギーが認められたと報告されています。
シラカンバはイネ科花粉とともに北海道の花粉症の重要な原因アレルゲンです。

スギ・ヒノキ

スギ・ヒノキはいずれもマツ目に属する植物で、両者の主要アレルゲンに共通抗原性が認められます。
スギは最も重要な花粉症の原因で社会問題となっています。感作、発症も低年齢化しているといわれ、幼児のスギ花粉症例も報告されています。ヒノキとの共通抗原性により、スギ花粉症の約60%がヒノキにも感作されています。このような例では、スギ花粉飛散終了後のヒノキ花粉飛散時期でも症状が持続すると報告されています。

全国の公立小中高に通う子供のうち 5.7%がぜんそく、5.7%がアトピー性皮膚炎にかかっていることが、文部科学省が初めて実施したアレルギー疾患に関する調査でわかりました。

調査は2004年6月 約37,000校に通う約1,277万人を対象に実施。健康診断の結果のほか、保護者からの申し出などで学校が把握している例を集計しました。

その結果、花粉症を含むアレルギー性鼻炎が9.2% アレルギー性結膜炎が3.5% 食物アレルギーが2.6% 食物などに対するアレルギー反応が2つ以上の臓器に現れるアナフィラキシーが0.14%でした。
いずれも 男子が女子を上回り ぜんそく・アトピー性皮膚炎・食物アレルギーは年齢が上がると減っていく傾向にありますが アレルギー性鼻炎と結膜炎は中学生が最も多いようです。

樹木花粉

樹木花粉
春季花粉症の原因の多くは樹木の花粉です。花粉の直径は10μm以上の大きさのため、吸入されるとほとんどが上気道に沈着されることから、鼻、喉、目でアレルギー症状が起こります。
近年、樹木花粉症に合併する食物アレルギー例が増加傾向にあるといわれています。とくに、ハンノキ、シラカンバ花粉症の約半数にみられる、リンゴ、モモ、ナシなどのバラ科果実アレルギーが良く知られています。

スギでも少数ながらトマトによる食物アレルギーが合併すると報告されています。これら食物アレルギーは、花粉と果実のアレルゲン間の共通抗原性により発症します。

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