甲殻類 (エビ・カニ)食物性アレルゲン

甲殻類に対するアレルギーはアナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こすことで知られています。特にエビ、カニに対するアレルギーは、学童期から成人での発症が多く、年齢が大きくなっても症状が軽快することが少なく、成人食物アレルギーの代表的な原因食物とされています。
厚生労働省による食物アレルギー対策検討委員会の結果によれば、食物アレルギーを引き起こした原因食物として、甲殻類は成人で最も頻度が高いと報告されています。小児を含めても、同委員会による報告では、エビが7位、カニが15位と高い順位を示しています。さらにショック症状を引き起こした原因食物としては、エビはピーナッツと並んで5位、カニは14位でした。

エビ、カニは、いずれもアレルギーを起こしやすい食品として、加工食品に原材料名の表示が推奨されています。また、甲殻類は食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIAn)の原因食物としても知られ、エビは小麦に次いで2番目、カニは4番目に多いと報告されています。甲殻類の主要アレルゲンはトロポミオシンとよばれる筋肉のタンパク質の一種で、甲殻類間では高い共通抗原性が認められ、エビアレルギーとカニアレルギーを合併する例が多いことが報告されています。またトロポミオシンは甲殻類のほかに、ゴキブリなどの昆虫、ダニ、イカやタコなどの軟体動物にも含まれ、共通抗原性が存在します。そのため、ダニ、ゴキブリ、イカ、タコなどに対するアレルギー患者の一部は、甲殻類にもアレルギー症状を起こす可能性があると報告されています。

●エビ
甲殻類の間では交差反応性が高く、エビアレルギー患者の約3分の2がカニに対しても症状を示したと報告されています。一方、イカやタコなどの軟体動物に対してはカニよりも少なく、2割程度でした。また、エビアレルギーは摂食によるものだけでなく、接触蕁麻疹、粉塵の吸入による職業性喘息も報告されています。

●カニ
エビに比べるとアレルギーの頻度は低いですが、原因食物として高い頻度であることが報告されています。また、エビとの共通抗原性により、エビアレルギーと合併する例が多いと報告されています。エビと同様、摂食による症状のほか、接触蕁麻疹の原因として挙げられています。

●その他の特異的IgE抗体が測定可能な甲殻類
ロブスター

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このページは、が2007年2月 4日 00:33に書いたブログ記事です。

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