花粉との共通抗原が報告されている食物

果実・野菜類に症状を示す例は、複数に症状を呈することが多いことが知られています。しかし、バラ科果実でアレルギー症状を起こした症例が他のバラ科果実にも症状を起こす割合は55%程度、ラテックスに症状を起こした症例がラテックス関連果実にも症状を起こす割合は35%程度、ラテックス関連果実に症状を起こした症例がラテックスに症状を起こす割合は11%程度との報告があり、個々の果実・野菜類に特異的なアレルゲンが存在すると考えられます。

●リンゴ・モモ・洋ナシ・イチゴ(バラ科)
バラ科果実は、シラカバ花粉との共通抗原により口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)を引き起こす原因として多くの報告がなされています。シラカバだけでなくハンノキ・ヤシャブシなど他のカバノキ科花粉患者においてもバラ科果実によるOASが報告されています。また、バラ科果実はカバノキ科花粉以外にラテックスとも共通抗原がありますが、バナナ、アボカド、キウイなどに比べてその頻度は少ないとされています。リンゴとモモは、アレルギーの原因さらにショックを引き起こした食品として、いずれも高い頻度が報告されており、加工食品に原材料名の表示が推奨されています。

●メロン・スイカ・カボチャ(ウリ科)
ウリ科果実・野菜は、イネ科、ブタクサ花粉症に合併する食物アレルギーの原因として知られています。カボチャのアレルギーの頻度は高くはありません。

●ニンジン・セロリ・パセリ(セリ科)
アレルギーの頻度は高くはありませんが、ハンノキ・シラカバなどカバノキ科の樹木花粉症、ヨモギ花粉症に合併する食物アレルギーの原因として知られています。

●ジャガイモ・トマト(ナス科)
アレルギーの頻度は高くはありませんが、シラカバ、イネ科、スギ科花粉症患者、またラテックスアレルギー患者においてOASを起こすことで知られています。

●バナナ(バショウ科)・キウイ(マタタビ科)・アボカド(クスノキ科)
ラテックスアレルギー患者がこれらの果実を食べるとアレルギー症状を起こすことで知られており、アナフィラキシーショック例も少なくありません。バナナとキウイは、アレルギーを起こした食品さらにショックを引き起こした食品として、いずれも高い頻度が報告されており、加工食品に原材料名の表示が推奨されています。

●オレンジ(ミカン科)
イネ科花粉、ラテックスと共通抗原性があると報告されています。オレンジは、加工食品に原材料名の表示が推奨されています。

●ヤマイモ(ヤマノイモ科)
ヤマイモは単独で症状を起こす例の報告が多く、花粉またはラテックスの関与は低いと考えられます。ヤマイモは、アナフィラキシーを含む比較的重篤な症状を引き起こす頻度が高いと報告されており加工食品に原材料名の表示が推奨されています。また、ヤマイモはコリンを含有するため仮性アレルゲンとしても知られており、特異的IgE抗体測定は仮性アレルゲンの鑑別にも有用です。

その他の特異的IgE抗体が測定可能な果実・野菜類
【果実】グレープフルーツ、マンゴ
【野菜】ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、タケノコ、サツマイモ

このブログ記事について

このページは、が2007年1月29日 00:24に書いたブログ記事です。

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