乳酸菌KW3100株とアレルギーの関係

アレルギーの症状が起こることと、外から入った病原菌などの異物を除去する白血球には、密接な関係があります。白血球は働きや形などからさまざまな細胞に分類されますが、その中にTh1細胞、Th2細胞というものがあります。

この2種類の細胞はお互いにバランスを保ちながら、免疫を制御する働きをしています。アレルギー症状が起きている人の血液を調べると、健康な人と比べて、Th2細胞と関連が深いIgE抗体という物質の血中濃度が濃くなっていることがわかりました。

Th2細胞の割合が増えると、花粉やダニなどに接触したとき、くしゃみやせき、発疹などのさまざまなアレルギー反応が誘発されます。ですから、このTh1細胞とTh2細胞のバランスを正常な状態に改善すれば、アレルギーの症状も改善出来ると考えられます。

マウスを使った実験においては、乳酸菌KW3110株を与えると、血液中のIgE抗体の上昇が抑えられ、Th1細胞、Th2細胞のバランスが改善すること、マウスに人工的に起こさせたアトピー性皮膚炎や花粉症の症状が緩和することが示されています。

乳酸菌KW3110株を摂取することにより、腸管でIL-12遺伝子の発現が誘導され、血中のIL-12濃度が上昇することが明らかとなりました。IL-12はアレルギー因子であるIL-4やIgEの抑制に重要な役割を果たしており、乳酸菌KW3110株の経口摂取によるアレルギー改善作用は、生体内でのIL-12産生を介していることが、示唆されました。

I型アレルギー反応は、抗原刺激によるマスト細胞の脱顆粒に始まる即時型反応と、数時間後に起こる好酸球の関わる遅発型反応の二相性の反応です。その間にT細胞の関与が考えられています。ヘルパーT細胞は、主として細胞性免疫に関わるTh1細胞と、抗体産生に関わるTh2細胞に二分され、それぞれ互いを抑制するサイトカインを出して調整しあっています。

★T細胞はタイムの香り?
アレルギー反応と大きなかかわりを持つ、Th細胞(ヘルパーT細胞)ですが、このTという文字には、おもしろい由来があります。実は、フランス料理などで、肉の臭みを抜くタイムというハーブが語源だとされているのです。T細胞は、骨髄で作られ胸腺という臓器で成熟するのですが、胸腺は、古来ヨーロッパでタイムの香りがすると考えられてきました。そのため、胸腺で成熟される白血球にも、タイムの頭文字のTがついたのです。

ところで、この胸腺。特に子牛のものはリードボーと呼ばれ、やわらかく味わい深いが高級な部位とされ、マデラソースを使ったソテーなどが有名です。しかし、やはりバラエティーミートですから、血抜きや臭み取などの下ごしらえが必要となります。その際にもタイムが使われることが多いようです。
もしかしたら、リードボーの料理を食べた人が、ほのかに残るタイムの香りを、胸腺本来の香りと考えたのかもしれませんね。

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このページは、が2007年1月15日 00:42に書いたブログ記事です。

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