穀類は鶏卵、牛乳に次いで乳幼児において重要なアレルゲンです。穀類間には強い共通抗原が存在するため、同じ患者さんで複数の穀類に対する特異的IgE抗体が検出されます。
穀類に対して特異的IgE抗体が陽性を示す乳幼児アトピー性皮膚炎は重症例が多いと報告されています。穀類の場合、特異的IgE抗体が陽性でも当該穀類を摂取可能な例が他のアレルゲンに比較して多いといわれています。
●小麦、グルテン
小麦は、乳幼児の食物アレルギーおよび思春期に多い食物依存運動誘発アナフィラキシーの重要な原因となります。また、製粉、製パン、製麺業者で小麦を吸入することで喘息を発症することも報告されています。
小麦アレルゲンは、塩溶液に可溶性の蛋白と不溶性の蛋白に大別されます。小麦は塩溶液に可溶性の成分を、グルテンは塩不溶性(実際はグリアジン)の成分を原料として用いています。いずれも小麦アレルギーの診断に有用ですが、とくに、グルテンは食物依存運動誘発アナフィラキシーの診断に有用と報告されています。
●ソバ
ソバはタデ科に属する植物で実際には穀類(イネ科植物)とは異なります。アレルギー症状が重篤(アナフィラキシーショックなど)なため、ソバは卵、乳、小麦、ピーナッツとともにアレルギー食品の表示義務項目に指定されています。また、小麦と同様に製麺業者の吸入アレルゲンになります。そばは学童〜成人の即時型症状の原因となり、なかなか耐性が獲得しにくい食品です。
●米
米アレルギーの頻度はそれ程高くありません。とくに重症のアトピー性皮膚炎患者で米に対する特異的IgE抗体が検出されると報告されています。
その他の特異的IgE抗体が測定可能な穀類
ライ麦、麦芽、大麦、オート麦、トウロモコシ、キビ、アワ、ヒエ