80年代後半から天然ゴム製品に対する即時型アレルギー反応が各国で報告され始め、ラテックスアレルギーと呼ばれるようになりました。原因となる天然ゴム製品には航空機用タイヤ、トラック及びバス用タイヤ、ゴムベルト、履き物、糸ゴム、粘接着剤、輪ゴム、医療用製品などがあります。
このアレルギー反応のハイリスクグループはおもに職業的に天然ゴム製手袋を常用する医師や看護師で、5〜15%の人がIgE抗体陽性であるとも報告されています。さらに、ゴム手袋に塗布されているパウダーやゴムタイヤの磨耗紛がラテックス抗原を伴って飛散していることから、こうした微粒子の吸入が重要な曝露経路の一つであると指摘されています。
アレルギー症状としては接触じんま疹など比較的軽いものが多いのですが、全身性じんま疹やアナフィラキシーショックに発展する場合もあり、アメリカでは死亡例が報告されています。
このアレルギーの原因となる物質の究明が各国で進められた結果、製造原料であるゴムの木の樹液(ラテックス)に含まれる複数の蛋白質及びそれらの変化体が最終製品にまで残存し、アレルゲンとして作用することが明らかにされました。しかし、個々のアレルゲン蛋白の性質や生理的な役割については、未だ十分に解明されているとは言えません。
ラテックスアレルギーの注目点として、患者が天然ゴム製品のみならず、果物・野菜・穀類といった植物性食品や花粉・薬草に対してもしばしば即時型アレルギー反応を経験することが挙げられます。
この現象は特に、ラテックス-フルーツ症候群と呼ばれています。症状としては、新鮮な果物や野菜を食した際に出現する、口腔・咽頭を中心としたアレルギー反応が特徴的です。
●ラテックスとの共通抗原が報告されている食物
<高い交差反応性>
バナナ・アボカド・キウィ・クリ・ジャガイモ・トマト
<中程度の交差反応性>
マンゴー・メロン・モモ・リンゴ・パパイヤパイナップル・ネクタリン・パッションフルーツイチジク・ニンジン・ホウレンソウ