乳幼児用の喘息治療に吸入ステロイド薬

気管支喘息の治療は気管支拡張薬を使用した、発作時の治療が中心ですが、吸入ステロイド薬を用いた毎日の予防治療にも注意が向けられています。
2006年7月に乳幼児用の吸入ステロイド薬(ブデソニド吸入懸濁液:商品名バルミコート)が日本で初めて承認されました。これによって、これまで使用を認められなかった5歳未満の子供についても発作時以外の治療・予防ができるようになりました。

ブデソニド吸入用懸濁液の臨床試験は、2003年7月から2004年8月にかけて国内第III相試験が、11施設で生後6か月から5歳未満の患者61人を対象に行われ、1日1回、あるいは2回の使用で、ぜんそく発作の頻度を投与前に比較して、2週間で2分の1に、4週間で5分の1に減少させた。また、夜間睡眠が妨げられた日数の割合も61.4%に減少させているとの報告があります。

ブデソニド吸入懸濁液(商品名:バルミコート)は喘息のアレルギー症状をおさえ、炎症をとる薬です。
この吸入薬の主成分は、ステロイドの一種です。ステロイドには強い抗炎症作用があります。気道の炎症がおさまると、過敏性が低下し発作が起こりにくくなります。ふだんからステロイド吸入薬により気道の炎症をしずめておくことが、発作を予防する意味で非常に重要になります。

ステロイドには組織の反応性を低下させる作用があります。気道における抗炎症作用は、炎症起因物質のサイトカイン、マスト細胞、好酸球などを減少させることによります。そのほか、血管透過性抑制作用や粘液分泌抑制作用もあります。

なによりも 発作の回数が減り、夜も眠れるようになることで、生活の質(QOL= Quality of Life)が向上する点が患者さんや保護者の方にとっては一番ではないでしょうか。

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このページは、が2006年12月 3日 22:13に書いたブログ記事です。

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