花粉症とは 原因と症状

花粉症は、風で運ばれた花粉がひきおこすアレルギーです。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが問題となる花粉の時期に突然おこります。春には樹木(スギ)、夏にはイネ科植物(カモガヤ)、秋には雑草(ブタクサ)が有名です。ハウスダストと違って花粉の直径は大きく、ほとんどが鼻や眼の粘膜でとらえられるのでこれらの粘膜の症状が主になり、気管支での喘息はおこりません。

【原因と症状】
花粉はどこにでもあって、だれもが吸入しているのに花粉症にかかる人とかからない人があります。これはアレルギー体質の人だけが花粉症にかかるからです。
人口の10〜20%に発病するスギ花粉症について、かかりやすい家系の研究から、スギ花粉症は遺伝することがわかってきました。アレルギーを抑制する遺伝子に欠陥があって、アレルギーにかかりやすくなり免疫グロブリン(IgE)抗体を作りやすい体質になります。

地方よりも、スギ花粉の少ない都市部にスギ花粉症が多いのは、アレルギー体質が基盤となって、それに都市部の大気汚染(おもにディーゼル排泄微粒子)が花粉症を促進する環境因子としてかかわっているからです

花粉症の発病のしくみは通年性のアレルギー性鼻炎と同じですが、花粉症ではある時期に集中して発病し、しかも、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど鼻の症状のほか、結膜炎・のどのかゆみ・からだのだるさ・頭痛・下痢などの症状を伴うことがもあります。

【主なアレルゲン】
春・・スギ・ヒノキ・ハンノキ
夏・・カモガヤ・オオアワガエリ
秋・・ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ・セイタカアキノキリンソウ

【花粉症がおこるしくみ】
花粉を吸入すると、つぎのような過程を経て花粉症を発症します。
1)花粉が微粘膜に付着すると抗原が溶け出し、粘膜に侵入する。
2)マクロファージが抗原をとりこんで処理し、抗原についての情報をヘルパーTリンパ球に伝える。
3)ヘルパーTリンパ球は、マクロファージから受けた情報を情報伝達物質のリンフォカインを介してBリンパ球に伝える。
4)情報を受けたBリンパ球は活性化し、増殖を繰り返して、抗体(免疫グロブリン)をつくる形質細胞に変身する。
5)形質細胞は花粉に対するIgE(免疫グロブリンE)抗体をつくり放出する。
6)IgE抗体は血管などを通じて全身に運ばれ、全身の肥満細胞の表面に付着する。この状態を感作の成立という。
7)感作の成立後、再び同種の花粉を吸入すると、その抗原が肥満細胞表面のIgE抗体と結合する。
8)肥満細胞から化学伝達物質(ヒスタミンなど)が放出され、三叉神経、鼻腺、血管に作用して花粉症が発症する。
9)三叉神経が刺激されてくしゃみがおこり、鼻腺からは鼻水の分泌が増加し、血管壁の透過性が高まって血管から滲出液がもれ、そのため鼻粘膜がむくんで鼻づまりがおこる。

このブログ記事について

このページは、が2006年8月19日 01:04に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「小麦・大麦・ライ麦・オート麦」です。

次のブログ記事は「II型アレルギー 細胞融解型アレルギー」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。