アレルギー合併症

アレルギー性鼻炎でみられる3主徴はくしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、特に大量の抗原に暴露される花粉症では、眼症状、口腔症状、咽頭症状、皮膚症状、発熱、頭痛などの全身症状の出現も高くなります。
これらの症状は、抗原そのものが標的臓器で障害をおこす以外に、鼻症状による鼻呼吸障害の結果として誘導されるもの、さらに治療薬による副作用もあり、鑑別には注意を要します。

1)アレルギー性結膜炎
スギ花粉症では、必ずといってよいほどみられます。ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ花粉症でもみられ、季節性にみられることが特徴です。掻痒感(そうようかん)、流涙、異物感、眼痛などが主症状です。

2)口腔症状
鼻呼吸障害に起因する 口腔乾燥、味覚障害の頻度が高く、薬剤性の味覚障害もあります。また、ある特定の食物を食べると、口の中や唇に掻痒感や浮腫状腫脹が出現するoral allergy syndromeも花粉症と関連があります。シラカバ花粉症患者では、リンゴやサクランボなどバラ科の果実を摂取したときに好発することがよく知られています。そのほかイネ科花粉症ではトマト・メロン・ミカン。ブタクサ・ヨモギ花粉症ではメロン・バナナ・セロリなどが共通抗原をもっていると指摘されています。

3)咽・喉頭症状
異常感、掻痒感の頻度が高い喉頭アレルギーの合併をおこします。のどの異常感と持続する乾燥した咳をともないます。

4)気管・気管支症状
アレルギー性鼻炎の10〜20%に気管支喘息が、気管支喘息患者の40〜90%にアレルギー性鼻炎の合併が認められます。

5)胃腸症状
腹痛、嘔気など多彩ですが、内服薬の副作用や心因性の関与もあります。

6)皮膚症状
アトピー性皮膚炎の憎悪因子として作用するばあいが多いが、特にスギ花粉症患者の一部では、アトピー性皮膚炎の既往がないのに発症する場合があります。季節性で肌の露出部に多く、浮腫性紅斑が特徴とされます。

7)全身症状
頭重感、倦怠感、さらにうつ状態も認められます。鼻呼吸障害が関与していると考えられていますが、詳細な機序については不明です。

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このページは、が2006年8月30日 23:38に書いたブログ記事です。

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