アトピーの遺伝子的背景

21世紀の国民病といわれるアトピー性疾患は、羅患者も多く(喘息5〜10%、アトピー性皮膚炎20%、花粉症30%)その対策は急務です。アレルギー(アトピー)は、普遍的な抗原(室内塵、動物の毛や花粉)に対してIgE抗体を作りやすい体質と定義され、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎などがアトピー性疾患の代表です。

人間には、内部に侵入しようとするものを排除する機構(免疫機能)があります。具体的には、細菌・ウィルスなどから身体を守るためのシステムであり、私たちが健康に暮らしていくために必要不可欠のものです。しかし、アレルギー疾患の患者では、本来は無害であるはずのダニや花粉(これらはヒトにや対する感染性がない)に対して、免疫システムが過剰反応して「アレルギー反応」を引き起こします。

これらの疾患の共通点として、1)IgEが上昇することが多い、2)組織(喘息では気道、花粉症では鼻粘膜、アトピー性皮膚炎では皮膚)に好酸球やTリンパ球、肥満細胞などの浸潤が認められる、などが挙げられます。

アトピーはもともと遺伝する傾向にあることが提唱された概念ですが、これは家系調査、双生児研究などでも証明されています。アトピーの遺伝に関する初めての大規模な研究は、1916年、1924年にCookeらによって行われました。彼らは喘息と花粉症患者(アトピー群)とアレルギーのない正常コントロール(非アトピー群)を比較しアトピー群では家族暦のあるものは48%、非アトピー群では7%であることを報告しました。アレルギー疾患の家系調査による報告はその後数多く報告されていますが、いずれも決定的なものはなく、その遺伝形式は単純なメンデル遺伝では説明がつきません。

現在、遺伝子解析・連鎖解析法や候補遺伝子解析を用いて、疾患感受性遺伝子を同定する研究が行われており、アレルギー性鼻炎、花粉症の全ゲノム解析の全ゲノム連鎖解析は3つ報告されています。候補遺伝子としては、インターロイキンおよびそのレセプター、ケモカインなどが挙げられ、いくつかの遺伝子多型との関連が報告されています。
いずれは、遺伝子が同定され花粉症が克服されるかもしれません。

【参考文献:臨床検査vol.50】

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このページは、が2006年8月29日 22:32に書いたブログ記事です。

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