免疫グロブリン

免疫グロブリン(Immunoglobulin)は、脊椎動物の血清や体液などに存在する抗体活性をもったグロブリンの総称で、 Igと略記します。
免疫グロブリンは抗原性の差異からIgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5種類に分けられます。

抗体は抗原刺激によって産生されます。免疫グロブリンの基本構造はY字型を呈し、IgGにおいては分子量約5000〜7000の2個の重いペプチド鎖(Heavy chain:H鎖)と分子量23000の2個の軽いペプチド鎖(Light chain:L鎖)が互いにSS結合によって結びつけられたものです。

H鎖:免疫グロブリンは種類によって、それぞれ特有な化学構造をもっており、γ・α・μ・δ・εの5種類があります。すなわちγ(ガンマ)をもった免疫グロブリンをIgG、α(アルファ)をもったものがIgA、μ(マイクロ)をもったものがIgM、δ(デルタ)をもったものがIgD、ε(イプシロン)をもったものがIgEということになります。

L鎖:各種の免疫グロブリンに共通で、抗原性の異なる2種類のκ鎖とλ鎖があります。κ差をもつものをK型、λ鎖をもつものをL型と呼びます。

IgG:基準値 870〜1700 mg/dL
全免疫グロブリンの70〜80%を占めています。リンパ節、脾臓、胸腺、その他小腸粘膜、気道粘膜中の活性化Bリンパ球から分化した形質細胞より産生されます。胎盤通過性をもち胎児の感染防御を司り自己産生は他の免疫グロブリンより遅れ、生後2〜4ヶ月最低値を示し徐々に増加し5〜10歳で成人レベルになります。

IgA:基準値 110〜410 mg/dL
全免疫グロブリンの約10%占めています。局所免疫の中心で、唾液、涙液、鼻汁、気道、消化管分泌物、乳汁などの分泌液中に高濃度含まれており、感染防御や食物アレルギーの予防にも役立っています。

IgM:基準値 35〜220 mg/dL
全免疫グロブリンの5〜10%を占めています。B細胞の分化に伴い細胞表面に発現し、細胞外刺激を伝達するレセプターとして細胞分化や抗体産生に関与しています。抗原刺激ににより最初に産生される免疫グロブリンで、感染が成立するとB細胞表面グロブリンを介して伝達され、まずIgMが産生され慢性化するにつれてIgG、IgAが増加しIgMは数週間で消失します。

IgD:基準値 13.0 mg/dL以下
血漿蛋白の一つで、多発性骨髄腫患者血清から特異微量蛋白として発見された免疫グロブリンです。
IgDは他の免疫グロブリンに比べ不明な点が多く、IgD高値は通常IgD型骨髄腫のほか原因不明の周期的発熱を伴う高IgD血症のみです。

IgE:基準値 (単位:IU/mL)
・1歳未満:20以下
・1〜3歳:30以下
・4〜6歳:110以下
・7歳〜成人:170以下
免疫グロブリンの一つで、血中には極めて微量に存在します。I型アレルギーの意義が高く、肥満細胞の表面に結合したIgE抗体と抗原(アレルゲン)が反応すると、肥満細胞は脱顆粒をきたしヒスタミンや好酸球遊走因子などの化学伝達物質を遊離し種々のアレルギー症状をひきおこします。

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このページは、が2006年8月23日 00:51に書いたブログ記事です。

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